熱力学や揺らぎ絡みの確率過程

生物と確率熱力学が深く関わっていることを知った。なので、確率熱力学について知りたい。

  • こちらの記事をまとめる。
  • 微少系での揺らぎ。コロイドや生物、電気回路では熱揺らぎを無視できない。
  • 微少系でも熱揺らぎが存在するかが疑問。
  • 実際には肯定的に答えが出た。熱力学第一法則、熱力学第二法則などがある。
  • 確率過程と、確率過程を用いた微少系での熱力学、を扱う。
  • コードも書いていこう。

1章 確率過程の計算方法

  • Gaussノイズに関する計算法則に焦点を当てる。Poissonノイズも扱う。
  • Markov過程。Markov過程とは、過去の履歴に依存しない確率過程である。ある線形演算子Lと、ある確率変数xの確率分布関数P(x,t)について、 \frac{\partial }{\partial t}P(x,t) = LP(x,t)
  • 確率分布の時間発展方程式をMaster方程式という。
  • 初期条件が確率的に与えられ、決定論的な常微分方程式に従う場合、マルコフ過程である。系の時間発展はLiouville方程式に従う。 \frac{\partial}{\partial t} P(x, t) = - \frac{\partial }{\partial x }a(x) P(x,t)
  • このLiouville方程式は、確率保存についての式で、解析力学的に大事らしい。(また解析力学入門しなければ、という気持ち)
  • Poissonノイズ。区間間隔dtの間にPoissonノイズが発生する確率は \lambda dt + O(dt^2)となる。遷移量 y^{*}のPoissonノイズは、 \hat{\xi}_{y^{*}, \lambda}^P(t) = \Sigma_{i=1}^\infty y^{*} \delta(t-\hat{t}_i)
  • Master方程式は、 \frac{\partial}{\partial t}P(x, t) = -\frac{\partial}{\partial x}a(x) P(x, t) + \lambda[P(x- y^{*},t) - P(x,t )]
  • 対称Poissonノイズとして、上にもy*、下にもy*、ぶれる可能性のあるようにする。
  • 〈d\hat{x}^n〉 = \lambda y^{*n}dt
  • Poissonノイズでは、経路が飛躍する。よって、経路の飛躍が無いノイズを考える。
  • 対称Poissonノイズの分散 〈d \hat{x}^2〉 = \lambda y^{*2}dt = \sigma^2 dtを固定したまま、つまり、確率λを∞に飛ばし、且つブレの大きさy*を0に飛ばすことで、分散の大きさを定数にする。そのノイズ、 \hat{\xi}_{y^{*}, \lambda}^G (t) を考える。
  • それから、いくつか極限操作をかませることで、得られる、Master方程式は、 \frac{\partial}{\partial t}P(x, t)= \frac{\sigma^2}{2} \frac{\partial^2}{\partial x^2}P(x, t)
  • Gaussノイズの微分形式は、特徴がある。
  •  \hat{W}(t) = \int_{t_i}^t ds\hat{\xi}^G (s)とする。この \hat{W}をWeiner過程という。すると、 〈(d\hat{W})^n〉= \delta(n-2)dtとなる。2次で打ち切れる! 
  • Whiteノイズは時間相関を持たないノイズで、 〈\hat{\xi}(t_1) \hat{\xi}(t_2)〉\propto \delta(t_1-t_2)
  • Poissonノイズ、GaussノイズもWhiteノイズである。
  • Levy-Itoの分解定理:「全てのWhiteノイズは、PoissonノイズとGaussノイズの組み合わせとして構成できる」(気持ちとしては、Poissonノイズで、不連続な部分を、Gaussノイズで、連続な部分を表現出来るので、あらゆるノイズを作れる。)
  • 経路が連続なマルコフ過程はGaussノイズ型の確率過程のみ。
  • 伊藤ルール: lim_{dt \rightarrow \infty} \frac{(d\hat{W})^2}{dt} = 1である。これは大数の法則のようである。(平均の近傍から、標本平均が外れにくくなるやつ)
  • 同様に、 dt d\hat{W} = 0
  • 確率微分方程式と伊藤積分。今まではノイズをただ足していた。( \frac{d\hat{x}}{dt} = a(\hat{x}) + \hat{\xi}(t)のように)。しかし、ノイズが乗法的な場合、そうはいかない。( \frac{d\hat{x}}{dt} = a(\hat{x}) +  b(\hat{x})\hat{\xi}
  • この乗法的なノイズ(multiplicativeノイズ)は、離散化の仕方によって積分の値が変わる。(常微分方程式がWell-definedではない)よって、積分する時は、離散化がどんなものか宣言する必要がある。(色んな積分の仕方がある、という意味でもある)
  • 伊藤積分 \int_{t_i}^{t_f} ds f(\hat{x}(s))\cdot \xi(s) = lim_{\delta t \rightarrow + 0, N \rightarrow \infty} \Sigma_{i=0}^{N-1} \delta t_i f(\hat{x}(s_i))\hat{\xi}(s_i)
  • イメージとしては、区間を細かく切ってそれぞれの点で縦が関数の値、横がノイズの値、高さが区間の幅の、直方体を作っているイメージ。
  • 伊藤積分は、平均値操作が楽で、関数とノイズの積の平均値の積分と、関数とノイズのそれぞれの平均の積の積分が0なら、積の平均も、平均の積も0となる。これは逆も成り立つ。積分しても微分しても変わらんということ。
  • 確率過程の微分公式。微分公式はTaylor展開みたいだ。Poissonノイズなら df(\hat{x}) = \Sigma_{n=1}^\infty \frac{1}{n!} \frac{(d\hat{x})^n}{dt}\cdot \frac{df^n(\hat{x})}{(d\hat{x}^n)}。Gaussノイズなら、 df(\hat{x}) = \frac{df(\hat{x})}{d\hat{x}}\cdot d\hat{x} +\frac{1}{2} b^2 (\hat{x})\frac{d^2f(\hat{x})}{d\hat{x}^2}dtとなり、一回一回の軌跡について成立する。
  • Gaussノイズは特別で、Stratonovich積分というものを使うと、通常の微分ルールが使える。これは、中点規則のようなものである。 \frac{df(\hat{x})}{dt} = \frac{df(\hat{x})}{d\hat{x}} \circ \frac{d\hat{x}}{dt} 
  • Fokker-Planck方程式。Fokker-Planck方程式は、確率微分方程式に対するの、分布の時間発展方程式である。
  • 経路積分表示(Onsager-Machlup公式)

今はこれでよしとしよう。

Bye-bye!