膵がんについて
5年生存率が、12.1%(がんの統計2022)
8人に1人。
年間40000人膵がんで死亡している。
予後が悪い。
罹患数と死亡数の差が少ない。つまり、治りにくい、治しにくいということ。
膵癌の予後が悪いのはなぜ?
早期診断が難しいから。
膵癌と診断がついた時のステージが、(Stage 4bが60%)
癌を早期に発見するには?
・ハイリスクの群に対して、優先的に検査をする(囲い込み)
・定期検査・検診
ハイリスクについて、
・食道がんは、アルコール、タバコ
・胃がんは、ヘリコバクターピロリ菌
・肝がんは、B型肝炎、C型肝炎、肝硬変(脂肪肝、アルコール性)
・大腸がんは、食事の欧米化、アルコール、タバコ、肥満、遺伝性(FAP、HNPCC)
・膵がんは、家族性膵癌、遺伝性膵癌症候群、糖尿病、慢性膵炎、IPMN、喫煙、大量飲酒
ハイリスク群への分け方がわかった。
その方に対して、消化器癌のスクリーニング検査は何をする?
・腹部エコー
しかし、死角が多く、体格によっては描出が難しい。
膵癌は悪性度が高い。他のがんと同一のステージで比較して、予後(5年生存率)が悪い。
膵癌の症状としては、
背部痛、上腹部痛、全身倦怠感、体重減少、
黄疸(膵頭部癌)
糖尿病の発症・悪化(膵臓の破壊、閉塞性膵炎)
診断に必要な検査は、
血液検査
膵酵素情報 amylase, lipase, elastase
画像・内視鏡検査
腹部超音波検査
造影CT
MRI、MRCP
EUS
ERCP
病理学的検査
確定診断へ
ちょっと待った。病理に回すためには、細胞・組織をとってこないといけないが、どうやってとる?
方法は2つ
・ERCP(膵管擦過細胞診)
感度:48.8%
・EUS-FNA(EUS-guided fine needle aspiration biopsy)
感度:85-89%, 特異度:95.8-98%
サイズの小さいものや、上皮内癌の場合は、ERCPを好む。
膵臓の治療について
外科的治療と、放射線療法、化学療法
外科的治療は、膵頭十二指腸切除、膵対尾部切除術、膵全摘術
再建術として、Child法などがある。
化学療法として、Gemcitabine, FOLFIRINOX, Gemcitabine + nab-Paclitaxel, Nal-IRI + 5-FU/LV
免疫チェックポイント阻害剤と膵癌
MSI陽性の人に対して、キートルーダが適応になる(が、あまり陽性の人がいない現状)
膵癌とKRAS変異
多段階発癌(KRASが95%以上に変異)
KRAS(G12C)を標的として、ソトラシブが開発され、非小細胞肺癌で臨床応用開始。
遺伝子変異の多様性に応じて、薬剤の開発がされている。
追記
膵癌は、繊維化が激しいので、造影CTでは早期では染まりにくく、後期で遅れて染まってくる。単純CTではコントラストが出来にくいため、造影CTが好まれる。