こちらの文献を読んでいます。
その内容をまとめます。
始めましょうか。
そもそも、この本を読もうと思った理由は、論文の「読み方」を上達させたいと思ったからです。詳しく言うと、論文を読むときに、筆者が何を言おうとしているかを的確につかめるようになりたい、ということです。
そのためには、筆者、すなわち、文章を書く側の気持ちを理解するべきです。文章を書く側が、どういう文章構成、論理構造を作っているかを考えるべきです。
そういう訳で、論文の「書き方」を知れば、論文の「読み方」の向上につながるのではないか、と思いました。これがこの本を読む目的です。
全部をまとめるには長いので、Introductionの部分だけまとめます。
Introduction
Introductionは3つのMove(話の持っていき方)から成ります。
- 研究対象の紹介
- 先行研究と問題提起
- 本研究の紹介
それぞれについて見ていきます。
研究対象の紹介
研究対象を紹介する際に、説明すべき点は大きく分けて2点あります。
- 研究対象の背景情報
- 研究対象に関する課題の提示
- 研究対象の背景情報については、
- 研究対象を定義し、
- 例:○○病とは■■が侵される病気である。
- 研究対象の重要性・重篤性を強調し、
- 例:○○病の1年生存率は10%である。
- 研究対象の特徴を説明したりします。
- 例:○○病には△△ウイルス感染が関係しています。
- 研究対象を定義し、
- 研究対象に関する課題の提示については、
- 未解明の課題を提示し、
- 例:△△ウイルスが○○病を発症する仕組みが未知です。
- 課題解決の必要性を訴えたりします。
- 例:△△ウイルスによる○○病の発症機構を理解することは、治療標的を探す上で決定的です。
- 未解明の課題を提示し、
まとめると、研究対象の紹介では、
- 「わかっていること(背景知識)」と「わかっていないこと(課題)」を説明し、
- それぞれの重要性・必要性を強調している
のです。
先行研究と問題提起
先行研究の説明と問題提起を行う際に、説明する事柄は以下の通りです。
- 重要な先行研究の紹介
- 解くべき問題の提示
重要な先行研究の紹介する時、研究の着眼点を提示したいです。文章を書く時の気持ちが定まっているので、その文章には、定型表現が存在します。
- 対象の特徴を説明する表現
- ○○病は◆◆遺伝子の発現上昇によって特徴づけられます。
- 先行研究を紹介する表現
- 以前の研究は、△△ウイルスの感染時に◆◆遺伝子の発現が上昇することを示しています。
- 最近の重要な先行研究を紹介する表現
- われわれは、最近、通常■■の細胞においてメチル化されている◆◆遺伝子が△△ウイルス感染時に脱メチル化されていることを発見しました。
- 先行研究の示唆を示す表現
- 新たな証拠は、△△ウイルスが◆◆遺伝子の脱メチル化を起こすことを示唆しています。
解くべき問題の提示をする際、様々な問題提起の表現が使われます。
- 問題点を提示する表現(未解明のことを述べる)
- しかし、△△ウイルスがどのように◆◆遺伝子の脱メチル化を起こすかどうかについては、まだ明らかではありません。
- 問題点を提示する表現(疑問を述べる)
- これらの証拠は、△△ウイルス感染が、どのように・・・。
- 対象の可能性を示す表現
- ◆◆遺伝子のメチル化を促進することが、○○病の発症を予防できるかもしれません。
まとめると、先行研究と問題提起では、
- 先行研究に触れながら着眼点を提示して、
- 未解明の点・疑問点・未知の可能性について
説明します。
本研究の紹介
本研究を紹介する時、
- 本研究の概略
- 本研究で得られた知見のまとめと展望
について説明します。
- 本研究の概略では
- 検討内容
- 実験手法
- 結果
- などが説明されます。
- 本研究で得られた知見のまとめと展望では、
- 得られた知見の解釈・まとめ・結論
- 展望を述べる表現
- などが説明されます。
全体のまとめ
Introductionでは、
- 何について話すかを決め(研究対象の紹介)
- どのような考えかを提示し(先行研究と問題提起)
- 何をしたかを話す(本研究の紹介)
という流れをとります。
この3つ組を踏まえて読むと、文章がわかりやすくなるのではないでしょうか。
※実際に筆者もやってみると、読みやすくなりました。