量子力学で、波動関数を使う。波動関数は複素関数全体の構成要素である。よって、複素関数を学ぶことは、量子論に繋がってくる。
こちらの本をまとめる。
1.複素関数
- 複素数。複素平面。極形式。
- 複素平面。ド・モアブルの定理。n乗根。複素平面図形。
- 複素数の演算。図形的な意味(ベクトルとか、回転)
- 複素関数。写像。1次変換。
- 点の近傍、集合の内点や境界や領域や範囲。連結な開集合を領域という。領域に境界点を全て足すと範囲という。
- 多価関数。よくあるのは1価関数(入力に対して1つ吐き出す)。沢山吐き出すのは、データ的にうれしい。人を関数とすると、便や言葉や呼気は多価な出力。
- 複素数の写像
は反転写像。
は等角写像。1次変換写像は閉じている。
- 指数関数。三角関数。
- 正味オイラーの公式。
- 双曲線関数。対数関数。べき関数。
- 無限多価関数
- 全体的に超入門。
- 微分と正則性。コーシー・リーマンの方程式。正則性の判定。
- 極限値。極限値とその点での値は等しいとき、連続という。微分係数が一意に定まるなら、微分可能という。できないなら特異点という。微分係数を導関数。
- (複素関数での)正則は、関数
が
で定義され、かつ
の近傍内の各点で微分可能なとき。領域全体での各点で微分可能なら領域で正則。
- 関数が正則であるための必要十分条件。コーシー・リーマンの方程式。
- 関数の正則性を調べる方法は、コーシー・リーマンの方程式以外に、
と表した時、
変形しただけ。
- 微分公式。調和関数。複素ポテンシャル。
- 逆関数の公式。こちらの記事は良い。傾きの積は1なのでわかる。
- ド・ロピタルの公式。
- ラプラスの方程式を満足する関数を調和関数という。複素関数の実部虚部が調和関数で、コーシー・リーマンの方程式を満足するとき、虚部を実部の共役調和関数という。定常状態の熱伝導方程式はラプラスの方程式に従うので、複素ポテンシャルと相性が良い。熱伝導なら等温線と熱流線、静電界なら等電位線と電気力線、流体なら等ポテンシャル線と流線、重力場なら重力ポテンシャル線と力線。2Dだからか!
- 線積分。積分公式。積分路。
- 正味積分。
が成立するのは、
の時。ほかは 0 !
- コーシーの積分定理。積分路の変更。多重連結領域の扱い。
- f(z)が単連結領域で正則ならば、D内の単一閉曲線Cに対して、コーシーの積分定理
- 積分路は変更できる。それを利用して、
- コーシーの積分公式。正則関数の導関数。モレラの定理。リュービルの定理。
- f(z)が単連結領域Dで正則なら、z0を囲む単一閉曲線Cに対して、コーシーの積分定理
- それの導関数版。グルサの公式。
- 付随して、モレラの定理。関数が単連結領域で連続で、任意の閉曲線で積分して0なら正則。
- 関数が正則でかつ有界なら、関数は定数。
3.展開・留数・応用
- 数列と級数。冪級数。収束半径。
- 複素数列の話。テーラー展開のお膳立て。収束半径について、ダランベールの公式(分母で極限に飛ばすやつ)や、コーシー・アダマールの公式(N乗根のNを無限大に飛ばすやつ)がある。以前の微分方程式の記事でまとめてある。
- テーラー展開。正則関数のべき級数表示。べき級数の性質。
- ローラン展開や留数へのお膳立て。
。べき級数は収束円内で正則である。なぜなら、項別積分可能なので、
以外なら0が成立するので、任意の閉曲線Cで
が成立し、モレラの定理より、
が正則となる。
- ローラン展開。特異点。留数の求め方。
。ただし、
- 点z0では正則ではないが、半径r以内の円でなら正則となるようなrが存在する場合、孤立特異点という。孤立特異点は除去可能な特異点と、真性特異点に分かれる。端的に言うと、ローラン展開はマイナス乗があるが、それが有限の数なら除去可能な特異点となる。-m乗の項まであるとき、m位の極という。
- 以前の議論から-1乗以外は積分して0となるので、留数b1は、
となる。他の有用な式は、
や、
なら、
- 留数定理。三角関数を含む実定積分。有理関数の定積分。フーリエ変換型の定積分。
- 留数定理
。フーリエ変換でも留数定理の関数が変わるだけで、本質は変わらない。積分の仕方(経路)を工夫すれば(大概の場合は)収束値を求められる。
- 短形積分路。主値積分。分岐点とリーマン面。
- 積分の仕方(半円、円、細長い長方形、点をまたいだ半円(主値積分))。主値積分をPをつけて表すと、
となる。
- リーマン面。ログとかの多価関数では、偏角を2πまわしても、もとに戻らないことがある。その点を関数の分岐点という。複素解析でのリーマン面とは、連結な複素一次元の複素多様体である。
- こちらの文書がある。コンパクト化された
のリーマン面は球面と同相。ええ、という感じだが、複素数平面は球面から北極除いたものと同相なので、気持ちはわかる。
- さらに発展して、リーマン・フルヴィッツの定理がある。
ただし、
を満たす時、コンパクト化されたリーマン面は種数gの曲面になる。
(mkの総和とnの最大公約数が1でない時)
(mkの総和とnの最大公約数が1である時)
- 代数曲線などとも絡んで来て、数学!という感じだが、それはまた今度。
バイバイ!