『リー代数入門 ー線形代数の続編としてー』

はじまるよ!

リー代数

  • 複素数成分のm次正方行列全体のなす集合をgl(m, C)とする。この2つの元の和もスカラー倍も、元となるので、線形空間。m^2次元の線形空間
  • 交換子積、別名ブラケット積という、掛け算した積と、順序入れ替えた積の差を、定義する。ヤコビの恒等式
  • リー代数(またはリー環)gは、線形空間gl(m, C)の部分空間で、2つの元の交換子積もgに含まれるもの。gの次元は、m^2。リー代数の部分空間で、交換子積が元なら、部分リー代数という。ハイゼンベルグリー代数。交換子積が必ず0となるリー代数を、可換なリー代数という。
  • トレースが0になる行列全体のなす集合で、m次特殊線形リー代数slという。また、交代行列全体のなす集合で、m次直交リー代数oという。m次斜交リー代数(または、m次シンプレクティックリー代数)spは、転置行列とある(ゼロ行列と単位行列で作ったやつ)行列をかけた積に、行列とそのとある行列をかけた積の、和が0になる行列全体。
  • ηをあるリー代数gの部分代数とする。ηの任意の元とgの交換子積が、ηに属するとき、ηはgのイデアルという。(偶数にどんな整数かけても、偶数。というのと同じ)。リー代数g1とg2を、行列の対角部分に順々に配置したら、拡大したリー代数となる。これを直和リー代数という。部分リー代数に分解できる。別のものを(行列の対角部分で)のり付けしたら、いっしょのものとして、扱えましたやったぜ。ということ

リー代数の同型

随伴表現とキリング形式

  • リー代数とは、行列の塊の、和もスカラー倍も、交換子積も含まれるような、条件を持った部分空間。写像adとは、リー代数gの元Xに対して、 ad(X)(Y) = [X, Y]となるもので、線形重ね合わせが出来る。gの線形変換全体の集合をgl(g)とかく。gがn次元の線形空間だとすると、その変換の集合は、gl(n, C)だと考えられる。写像adは、リー代数gから、その線形変換gl(n, C)に写す写像だ。線形写像であるのは、移した先がglだから当たり前だ。
  • adはリー代数準同型写像となる。交換子積が写す前と後で一緒。一般にglへの準同型写像を、リー代数の表現という。準同型adをリー代数の随伴表現という。
  • Adで基底を取り替えたら、新しいadとなる。新しい随伴表現を得る。Adは正方行列をいじるものだから、adをいじることになる。
  • 行列ad(X),ad(Y)の積のトレースに複素数を対応させる関数をBでかくと、 B(X, Y) = Tr(ad(X)ad(Y)) となる。これをキリング形式という。XとYを入れ替えても変わらない。2つの線形空間に関して線形写像である、双1次形式と言われる。gl(m, C)のキリング形式は、 B(X, Y)= 2mTr(XY)-2Tr(X)Tr(Y)。極化の方法という、 B(X, Y)=1/2\{B(X+Y, X+Y)-B(X, X)-B(Y, Y)\}を使うと出る。sl(m, C)のキリング形式は、2mTr(XY)である。o(m, C)のキリング形式は、(m-2)Tr(XY)である。sp(m, C)のキリング形式は、(2m+2)Tr(XY)である。

半単純リー代数カルタン部分代数

  • キリング形式は、リー代数×リー代数複素数 とする写像だった。正確には、ad()とad()のトレースであった。(ad()は、交換子積について、準同型なものでリー代数でした)。ここで、リー代数gの基底 \{ v_1, \cdots , v_n\}について、 B_{ij} = B(v_i, v_j)とおいて、 \mathbb{B} = [ B_ij]なるn次正方行列が、正則なら、(逆行列があるなら OR 行列式が非零なら)、キリング形式は非退化という。
  • 「キリング形式Bが非退化なリー代数を、半単純リー代数という」sl(m,C)は2以上のmで半単純。o(m,C)は3以上のmで半単純。sp(m,C)は1以上のmで半単純。
  • 半単純リー代数gに対して、カルタン部分代数ηとは、1)任意の H \in \etaに対し、 ad(H) \in gl(g)は対角化可能。2)ηは極大可換部分代数である。
  •  \eta_1, \eta_2がともに、半単純リー代数gのカルタン部分代数なら、gからgへの同型写像φがあり、 \phi(\eta_1) = \eta_2 これは、1つのリー代数は基本的にただ一つのカルタン部分代数を持ってるということ(写像で移りあえるから)。カルタン部分代数の次元をリー代数gの階数(ランク)という。

 

ここからは、定義だけを見る。

ルート

  • 半単純リー代数gのルートとは、カルタン部分代数ηから複素数集合Cへの線形写像αであって、全てのηの元Hに対して、α(H)が随伴行列ad(H)の同時固有値となっているもの。(同時固有値になっている、とは、 X \in gがHによらず存在して、ad(H)(X) = α(H)X が成立すること)(気持ち的には、固有ベクトルが唯一に決まる感じ)、カルタン部分代数が、対角化可能かつ極大(唯一)なのが、良い性質らしい(飛ばす)
  • 0でないルートの集合をルート系といい、Δで表す。ad(H)は同時対角化されるから、それぞれのルートαに対応する固有空間 g_{\alpha} = \{ X \in g : ad(H)(X) = \alpha(H) X , H \in \eta \}が定まり、 g = g_0 \otimes \Sigma_{\alpha \in \Delta} g_\alphaと直和分解される。これをルート分解という。(いくつかの線形写像の集合があって、それぞれ別々に、リー代数gをテンソル積の形に分解する時の、ものとして、使える、ということか)

ルートの性質

  • コルートとは、半単純リー代数gのルート \alpha \in \Delta \cup \{0\} \subset \eta^{*}に対して、 t_\alpha \in \etaと表せる元をいう。
  • α、βを半単純リー代数gの2つノンゼロルートとする。その時、有理数 q_{\beta \alpha}が存在して、 B^{*}(\beta, \alpha) = q_{\beta \alpha}B^{*}(\alpha, \alpha) 。 B^{*}(\alpha, \alpha)は正の有理数
  • ノンゼロルート[tex : \alpha \in \Delta]に対して、 dim(g_{\alpha}) = 1\quad or \quad k \alpha \in \Delta, k \in \mathbb{Z}なら、 k= \pm{1}。気持ち的にはαが良い形のルートでそれをk倍しても、性質が変わらんなら、kは±1倍で、大きさは変わってない、ということか(?)
  • α、βを半単純リー代数gの2つの異なるノンゼロルートとする。 -q \leqq k \leqq pを満たすすべての整数kに対し、 \beta + k \alphaがルートで、 \beta - (q+1) \alpha, \beta + (p+1)\alphaが、ともにルートでない整数p、qをとる。このとき、 q-p = \frac{2 B^*(\beta, \alpha)}{B^*(\alpha, \alpha)}カルタン整数 c_{beta \alpha}という。βに関して線形性が成り立つ。このβ-kαをβを含むルートのα系列という。

コルートの具体的な計算

  • 半単純リー代数のルート系は、カルタン部分代数の双対の有限部分集合。コルート系はカルタン部分代数の有限部分集合。
  • 半単純リー代数gのカルタン部分代数ηで、非退化なキリング形式B:η×η→Cで出来る同型写像t:η*→ηが、Hはηの要素、γはη*の要素。 B(t(\gamma), H) = \gamma(H)、ノンゼロルートαによる像tαをノンゼロコルートという。
  • カルタン部分代数とは、 \eta_{\mathbb{R}} = \Sigma_{\alpha_i \in \Delta} \mathbb{R} t_{\alpha_i} \subset \eta これは、l次元実線形空間

ルートの基本系

  • 半単純リー代数の理論は、ルート系の定める幾何学的図形の理論に全て帰着される。半単純リー代数gのノンゼロルートの集合のルート系Δは、双対実カルタン部分代数の有限個の元からなる集合。
  • ルート系の部分集合 \Prod = \{\alpha_1, \cdots ,\alpha_l\}が、ベクトル空間 \eta_{\mathbb{R}}^{*}の基底で、Δの勝手な元αについて、基底の係数の正負が全て一致する、なら、Δの基本系という。
  • 半単純リー代数gのルート系には、必ず基本形が存在する。1通り以外もあるが、取り方を変えても、 \eta_{\mathbb{R}}^{*}内積を変えない線形同型写像で移りあう。(この部分はワイル群と関わるようだ(?))
  • 単純ルート、
  • 単純ルートの個数は、gの階数に等しく、単純ルート全体は、Δの基本系となる。
  • 同様にして、コルート系の基本系も定められる。双対実カルタン部分代数から、実カルタン部分代数への同型tは、内積B*をBに移すので、ルート系Δの \eta_{\mathbb{R}}^{*}の中の図、コルート系Φの \eta_{\mathbb{R}}の中の図は等しい。ルート系の基本系に対し、同型tによる像を、コルート系 \Phi = t(\Delta)の基本系という。
  • カルタン行列。 c_{ij} = \frac{2 B^*(\alpha_i, \alpha_j)}{B^*(\alpha_j, \alpha_j)} これは正則で、逆行列も存在する。カルタン行列が同型なら、半単純リー代数が同型。ディンキン図形で表すことがある。

以降は、流す。

 

表現(ウェイトなど)

SL(2, C)の表現

 

バイバイ!