箱玉系の数理の入門

こちらの記事をまとめる。

  • 箱玉系とは、箱から箱へ玉を移動させるゲーム。セルオートマン系力学系の特殊形)
  • ソリトン解を持つ、保存量を持つ、初期値問題が解ける、ソリトン散乱がYang-Baxter関係式を満たす、状態空間を量子代数で表現、時間発展規則を表現のIntertwinerで書ける。などの良さを持つ。古典非線形可積分系ソリトン方程式など)と、量子非線形可積分系(可解格子模型など)を結ぶ系である。
  • 箱玉系とその運動方程式。セルオートマンは、有限の状態をとるセルからなる、可算個の状態を遷移する離散力学系である。生物の形態形成や交通渋滞など
  • 箱玉系は、箱から箱へ移動する玉の力学系として表現されたもの。箱玉系は、1列に並んだ同じ大きさの箱と、箱に丁度1個だけ入る同じ種類の玉である。有限個の玉を入れた配置を、箱玉系の状態と呼ぶ。それが変化していく。

箱玉系の状態変化

  1. 玉のコピーを作る
  2. コピーの中の1つを最も近い右の空箱に移動させる。
  3. 残りのコピーの中の1つを最も近い右の空箱に移動させる
  4. 全てのコピーを移動させるまで3.の操作を繰り返す。
  5. もとの玉を消去する

これが1つの変化である。

  • 箱玉系の性質。1)玉の列の速度は長さに比例する、2)2つの玉の列は衝突の前後で変化なしで位置はシフトする。KdV方程式のソリトンのふるまいに似る。1)速度が振幅に比例し、2)産卵の前後でソリトンの大きさは変化せず位相が変化する。連続した玉の列は「ソリトン」、長さは「ソリトンの振幅」
  • 時刻tでのn番目の箱にある玉の数を u_n^t \in \{0,1\}とする。すると、箱玉系の運動方程式 u_n^{t+1} = min(1-u_n^t,  \Sigma_{k=-\infty}^{n-1}u_k^t - \Sigma_{k=-\infty}^{n-1}u_k^{t+1} 気持ちは、どんな系を考えるか、で運動方程式も変わる、といいうことを忘れないでいよう。
  • 箱玉系の保存量。N個の粒子からなる戸田方程式はN個の独立な保存量を持つ。N個のソリトンから構成される箱玉系もN個の保存量を持つ。
  1. 10の数をp1
  2. 10を消去し、10の数をp2
  3. 全ての1が無くなるまでする。
  4. p1, p2,..., pnが保存量
  • 箱玉系の保存量は非減少列なので、ヤング図形としてとらえられる。
  • 定理 「ある有限の時刻Tが存在し、 t\geqq Tでは、系の状態は右側からソリトンが長さの準に並んだ状態になり、L1, L2,...はそのソリトンの長さを順に並べたものに等しい」。つまり、ヤング図形と、最終状態のソリトン順序付き集合が対応するということ。
  • 箱玉系と超離散KdV方程式。KdV方程式は、浅水波などの非線形波動を記述する式。 u_t + 6uu_x u_{xxx} = 0。これを連続極限で含む、可積分な離散方程式 \frac{1}{\omega_{n+1}^{t+1} }- \frac{1}{\omega_{n}^{t}} + \frac{\delta}{1+\delta} (\omega_{n}^{t+1} - \omega_{n+1}^{t})  =0を離散KdV方程式とかく。ここで、 \omega_{n}^{t} = \frac{ \sigma_{n}^{t} \sigma_{n+1}^{t-1}}{\sigma_{n+1}^{t} \sigma_{n}^{t-1}}とかくと、佐藤理論から、Nソリトン解が得られる。
  • 区分線形方程式で書く。 \rho_n^t = \Sigma_{k=n}^{\infty} \Sigma_{s=-\infty}^t u_k^sとおくと、 \rho_{n+1}^{t+1} + \rho_n^{t-1} = max(\rho_{n+1}^{t-1} + \rho_{n}^{t+1}-1, \rho_{n}^{t}+\rho_{n+1}^{t}なる、区分線形方程式が書ける。極限操作で、ある方程式から区分線形方程式を作ることを、方程式の超離散化という。そこからもソリトン解を導けるが、それは省く。

後は、細かくは立ち入らないが、単語だけ拾う。

バイバイ!