バナッハ環に入門する。

経緯

  • C0半群について、調べものをしていると、バナッハ空間という言葉に出会い、なんじゃこりゃとなった。さらに、バナッハ環という言葉も出てきて、これはまとめなければと思いたった。

バナッハ環の基礎理論と応用

  • まず、こちらの記事をまとめる。
  • バナッハ空間であり、環の構造を持つ、それがバナッハ環だ。
  • バナッハ環の定義。Aを \mathbb{C}上のバナッハ空間とする。A内の任意の点xに対して、積xyが定義され、次の条件を満たすとき、Aをバナッハ環(バナッハ代数)と呼ぶ。任意のAに属するx、y、z、 \mathbb{C}に属する任意のλに対して、1) (xy)z = x(yz) 2) x(y+z) = xy+xz 3) \lambda(xy) = (\lambda x)y = x(\lambda y) 4) ||xy|| \leqq ||x||\quad ||y|| 気持ちは、普通の掛け算の結合・分配法則、スカラー倍に関する甘さ、長さは偽の三角不等式みたいなもの、を満たす、ということか。
  • バナッハ環に対して、任意のAに属するx、yに対して、 xy = yxが成立するなら可換バナッハ環という。
  • 単位元を持つバナッハ環。長さが1の、Aに属するあるeがあって、全てのAに属する元xに対して、 xe = ex = xが成立するとき、eをAの単位元という。
  • スペクトル(行列の固有値に似たもの)をσ(x)とかくと、スペクトル半径は、 r_{\sigma}(x) = sup\{|\lambda |: \lambda e-xがAで可逆\}
  • バナッハ空間の指標とイデアル \phi : A \rightarrow \mathbb{C}が、 \phi (\lambda a + \mu b) = \lambda \phi (a) + \mu \phi (b) \\ \phi(ab) = \phi(a) \phi(b)がすべてのa,b ,λ, μで満たすなら、ΦをA上の指標という。(気持ちは、線形性を持ち、掛け算も出来る、関数のこと)。MをA上の非自明な指標全体とすると、Mは極大イデアル空間という。(関数全体の空間)
  • Gelfand表現。x^(Φ)=Φ(x)によって、定義される、x^: M→Cなる写像。この、^ をGelfand表現という。
  • Gelfand表現定理。「Aを単位元eを持つ可換バナッハ環とし、MをAの(Gelfand位相を持つ)極大イデアル空間。Gelfand表現が準同型写像であり、関係式 r_{\sigma} (x) = ||\^x||_{\infty} \leqq ||x|| さらに、σ(x)はxの値域である。(Gelfand表現の値域と、もとのxのスペクトルが一致する。)Gelfandの ||\^x||_{\infty} = r_{\sigma}(x) = lim_{n\rightarrow \infty} ||x^n||^{1/n}(Gelfandの大きさの最大値は、スペクトル半径となる)、xがA内で可逆なら、Gelfandの \^x \neqq 0となる。
  • バナッハ環の応用。ボルテラ差分方程式。 x(n+1) = \Sigma_{j=0}^n q(n-j)x(j), n\in \mathbb{Z}^{+}の基本解r(n)の総和可能性を考える。(?)。空間 l^1(\mathbb{Z}^{+}) = \{a: \mathbb{Z}^{+} \rightarrow \mathbb{C} | \Sigma_{n=0}^{\infty} |a(n)| <\infty \}を考えると、 l^1(\mathbb{Z}^{+})の任意の元a、bに対して、 (a*b)(n) = \Sigma_{k=0}^n a(n-k)b(k)として、結合積を導入する。 l^1(\mathbb{Z}^{+})は可換バナッハ環となる。単位元を持つ。

  •  l^1(\mathbb{Z}^{+})の元aについて、 \Sigma_{k=0}^{\infty} a(k) \omega^k \neqq = 0となる。aは可逆である。なので、逆元bがある(むろん、結合積がe)
  • ボルテラ差分方程式の特性方程式 ||z||\geqq 1で解を持たないことと、基本解が総和可能であることは、同値。
  • Wiener’s Lemma 

    f:id:medical-science:20210910175809p:plain絶対収束するフーリエ級数展開可能な関数が、逆数にしても、性質が変わらない(絶対収束するフーリエ級数に展開される)

まだわからないことも多いが、今はこれで良しとする。

バイバイ!