『常微分方程式の解き方』

1)常微分方程式について解けること。2)常微分方程式を想起出来ること。3)常微分方程式にまつわる微積分・線形代数・集合と位相・特殊関数の話を復習して使えるようにする。

 

始めましょうか。

 

基礎論

微分方程式とは何か

  • 解が関数になる方程式を関数方程式、多項式=0のような式を連立させたものを代数方程式という。関数方程式の解は、ある変数(独立変数)を使った関数、未知関数と言われる
  • 関数方程式のうち、未知関数の導関数を含んでいるものを微分方程式という。独立変数が1個なら常微分方程式という。2個以上あるものを偏微分方程式という。未知関数が1つなら単独微分方程式。未知関数が複数なら連立微分方程式、または微分方程式系という。未知関数のn階までの導関数が含まれるとき、n階微分方程式という。正規形という、微分方程式の形がある。一階微分方程式なら y^{'} = G(x, y)の形をしていること。(これについてはこちら微分した未知関数が左、独立変数と未知関数の次数1つ以上大きいものを変数にとる関数(かたまり)が右、と書き表せたら良い。
  • 微分方程式の解はいくつもある、から、任意定数を付け加える。付け足したものを一般解といい、特定の値を入れたものを特別解あるいは特殊解という。一般解の中の任意定数がいくつか?ということについて、存在定理がある F_j(x, y_i)(i=1~m) をx=x_0, y_j=y_{j0} (j=1~m) の周りで定義された関数で、条件  \Sigma_{j=1}^m | F_j(x, y_i) - F_j(x, z_i)| \leqq L \Sigma_{j=1}^m |y_j - z_j| を満たすとすると、正規形m元一階連立微分方程式は、  (x_0, c_i) がF_jの定義域に入るようなベクトルCに対して、\phi_j (x_0) = c_j を満たす、ちょうど1組の y_j = \phi_j(x) を持つ。」よって、Fjの定義域に入るcである限り、任意に選んでよくて、m個の任意定数を持つのである。(心は、三角不等式みたいな条件を満たす関数について、その定義域を満たす、数の組なら、Ok!ということ)
  • 微分方程式を作るには、何回か微分すると、出来る。

微分方程式を解くための準備

  •  基本的な式。積分するための道具3つ(基本的関数の不定積分、部分積分、置換積分)、ノウハウ2つ(分数関数の積分、分数関数の積分への帰着のさせ方)
  • 数列を形式的に足し合わせると、級数となる。有限和もまた数列となり、(どこまで足すか~どこの要素か)、その数列が収束するとき、その極限値級数の和という。「級数が収束→数列の極限=0」。数列の絶対値の級数が収束するとき、絶対収束という。そうでないけど、級数が収束するなら、条件収束するという。「級数が絶対値収束→級数が収束」(三角不等式で抑えられているから)。正の数列を考える(正項級数を考える)。収束する正項級数より絶対値が小さいなら、級数は絶対値収束。絶対値収束なら、加減乗除の順番入れ替えれる(適当でいい。可換)例外: 0+1-1/2+1/3-1/4+1/5,,,
  • 正項級数について、ダランベールの判定条件がある。 \lim_{k \rightarrow \infty} M_{k+1}/M_k = \rho ρが1より小さいなら収束する。コーシー・アダマールの判定条件は、 \lim_{k \rightarrow \infty}\sup M_k^{1/k} =\rhoとしたもの。数列のsupの極限は、添え字以上の数列の最大値みたいなもの。数列の上極限と言われる。
  • 各点収束は、それぞれの点が、最後どこ行きますか、ここに行きます。という意味。x^kと0,1の話。それに対して、関数は連続的で隣同士とか全体の話がしたいこともあるので、関数の差の最大値が0に収束すること、で全体がどんどん似ていきます、という意味。1以上を定義域とする関数列 f_k(x) = 1 (x=k)\\f_k(x)= 0.1^k (x \ne k)は、各点収束だが、一様収束ではない。 ちなみに、一様収束するなら、連続関数で、関数列の積分の極限は、関数fの積分と一致する。(極限と積分を入れ替えられる、全体が似るなら大概許される)広義一様収束という、どっかで似ていればOKという概念もある。
  • 級数といって、 \Sigma_{k=0}^{\infty} a_k(x-x_0)^kの形のもの。akより大きい正の数を使えば、優級数という。べき級数がある点に対して収束するとは、それより半径の小さい部分で、絶対値収束して、広義一様収束する、ということ。だから、収束についての議論は、1)全部、2)一部、3)無、の3通り。で、2で、収束半径、というのが、部分を定める変数だ。その収束半径は、判定条件で出てきた関数だ。
  • テーラー展開・マクローリン展開
  • 行列の固有値固有ベクトル固有ベクトルを綺麗に並べて、行列を作ると、対角化するための行列となる。 P^{-1}AP = diag(\lambda_i)

 

1階微分方程式の解き方

  • 変数分離型方程式、とは、左辺が未知変数の導関数微分したやつ)、右辺が、未知変数のみの関数と、独立変数のみの関数の、積(積は分離出来るよね)になっている微分方程式をいう  dy/dx = f(x)g(y) g(y)=0となる関数yを恒等的にとるものを、平衡解、特異解という。 それぞれのyiを平衡点という。
  • 同次形微分方程式、とは、右辺が y/xの関数である、微分方程式 dy/dx = f(y/x) これを解くには、y=uxと置くと、 du/dx = (f(u)-u)/xとなり、変数分離型に落ち着く。ニュートン法(二次で収束するみたい)で近似しよう。
  • [tex: dy/dx = f*1]の形の方程式も、1)a'b-ab'=0の時は、ax+by=uとしてやると、変数分離型になって、2)a'b-ab'≠0の時は、a'x+b'y+c'=ax+by+c=0の解α、βを求めて、X=(x-α), Y=(y-β)とおいて、u=Y/Xと置いたら、完了。
  • 線形微分方程式、とは、右辺が線形関数みたいな形をしているもの。(線形性とは、写す前も後も重みを保ってること。詳しくはこちらの記事。) dy/dx = f(x)y+g(y) である。結論から言うと方程式の解は、 y = e^{\int f(x)dx}\{ A+\int e^{\int f(x)dx} g(x)dx\} 気持ちは、第一項がfだけ考えた、第二項はfをいやいや考えつつ(一緒に積分)、指数でマイナスf掛けて差し引きつつ、gをメインに考えた、というもの。
  • 線形に簡単に直せる微分方程式 dy/dx = f(x)y +g(x) +h(x)y^nというものがある。g=0なら、ベルヌーイ型、n=2なら、リッカチ型、という。ベルヌーイ型は、y^nで両辺を割って、u=y^(1-n)にすると、線形微分方程式 du/dx = (1-n)f(x)u + (1-n)h(x)となる。リッカチ型は、一般的に解く手法はないが、特殊解y=u(x)が分かっていたら解ける。y=u(x)+zとおいて、 dz/dx= (q(x)+2r(x)u(x))z+r(x)z^2というベルヌーイ型に直せば解ける。ちなみに、KdV方程式のmiura変換は、リッカチの微分方程式だ。

 

定数係数線形微分方程式の解き方

  •  線形微分方程式 \Sigma_{i=0}^n a_i(x)d^iy/dx^i = 1と、斉次方程式、 \Sigma_{i=0}^n a_i(x)x^i = 0 。それで、ai(x)=aiとして、定係数とする。 a_0d^ny/dx^n+a_1d^{n-1}y/dx^{n-1}+ + + a_ny=F(x)1)もとの線形微分方程式の特殊解を求める。2)斉次方程式の一般解を求める。3)1)と2)の解を足し合わせる。すると、もとの一般解を得られる。電気回路でも使えるよ。
  • 線形微分方程式の性質として、同時方程式(右辺が0になるやつ)の解全体がベクトル空間になる(たしても0を満たすから当然)。同次方程式の解空間はn次元である。 y = \Sigma_{i=1}^n c_i y_iとなる。解の存在定理により示される。線形独立なn個の解の線形重ね合わせが同次方程式の解だ。
  • 同次線形微分方程式を作る。ロンスキアンWとは、0~n-1階微分までの、n個の関数の行列式のことで、

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    とかける。ロンスキー行列が0でないなら、一次独立であることが言えて(詳しくはこちらの記事)、線形微分方程式を作れて、 A = (y, y^{'}, ・・・, y^{n-1}), B = (y_1^{(n)}, ・・・, y_n^{(n)}とおくと、求める線形微分方程式は、 \begin{vmatrix}A^T \quad W \\ y^{(n)} \quad B \\ \end{vmatrix}

  • 次に、フロベニウスの方法。では、同次方程式の解を1つ、Xを見つけたら、y=xzとおいて、線形微分方程式に代入して、zに関する次数の1つ低い方程式を得られる。これをn階繰り返したら。階数を下げる方法を、階数降下法という。定数変化法という、同次方程式のn解を重ね合わせる係数関数を、変化させて、もとの式の解とする、ものがある。先に式の形を決めて、後で係数を合わせるスタイル。
  • 定数係数同次線形微分方程式、を解くとき、係数aiを使った方程式 \phi (\lambda)=\lambda^n + a_1 \lambda^{n-1} +\cdots +a_n=0の解を特性根という。1)特性根が全て相異なる実数なら、指数の肩にのせて、その線形結合を、一般解とする。2)重根を持つ実数なら、 e^{\lambda x}, xe^{\lambda x}, x^2e^{\lambda x}, \cdots , x^{r-1}e^{\lambda x}とかく。心は、重根だと、重なった(余分がある)分、仕事を割り振る、必要がある。3)虚数の時も、結局同じ。
  • 微分演算子法とは、 D=d/dxとおいて、微分する、という操作、を文字として扱おう、と言う気持ちだ。(D-λi)^-1を1からnまで左から順に掛けていけば、解が求まる。虚数の時も、無理矢理因数分解とかして、出来る。重要なのは、Dを使って、関数の次数を落としていくこと、落としつつ関数に指数が乗っていくこと(それが重根の時に顕在化する)。ここで、特性根の話とも関連してくる。

連立定数係数線形微分方程式の解き

  •  連立定数係数なので、行列にして、並べて処理した方が楽だ。
  •  y^{'} = Ay+f(x)\\ y = Pz\\ z^{'} = P^{-1}APz +P^{-1}f(x) となり、上手くPを選ぶと、P^-1APの対角部分だけのこり、zの一階線形微分方程式っぽくなる。zの各成分に対して、方程式が経つのだが、Aの固有値Uiを特徴量とする(線形な固有ベクトルを使える)
  • そこで、ジョルダン標準形が出てくる。ジョルダン標準形という(良い形)の求め方は、こちらの記事が良い。

応用編

微分方程式の近似解法1

微分方程式の近似解法2

  • 与えられた点の周りで、展開して、係数比較するだけ。 

完全微分方程式

また後でいいや。

*1:a^{'}x+b^{'}y+c^{'})/(ax+by+c