自己共役作用素の入門(その1)

こちらのリンクをまとめる。

自己共役作用素について、1)知りたい。2)使えるようになりたい。3)常にイメージしていたい。

 

始めましょうか。

自己共役作用素のスペクトル分解

  • 射影作用素ヒルベルト空間Hとその閉部分空間Mにおいて、射影作用素PMは、 u = u_1 + u_2, u_1 \in M, u_2 \in M^{\perp} とした時、P_M u = u_1として定義される。射影作用素は、有界作用素で、 M \neq \{0\}のとき、 ||P_M||_{op} = 1となる。
  • P \in B(H) が射影作用素となる必要十分条件は、 P^2 = P, P^{*} = Pが成立すること」、Pは何回掛けてもPやし、Pは自己随伴行列(エルミート行列)である。複素転置とっても、同じところに移してますよ、という話か。
  • Hilbert空間Hにおける単調増加な閉部分空間の族 \{M_t\}_{t \in \mathbb{R}}が、実数上の交叉が{0}になり、合併がヒルベルト空間全体となり、 M_{t+0} = M_t M_t = {\cap}_s M_s(s>t))であると、、HからMtへの射影作用素の族を単位の分解と呼ぶ。ヒルベルト空間から、閉部分空間の族への対応を、射影作用素の族への対応に置き換えただけの話。だから、射影作用素の族から、定義しても良い。この定義の心は、「もともとは0(ー∞で{0})で、全体を覆う(ヒルベルト空間と等しい)し、根っこは変わらん(共通部分は、一番小さいもの、ベースは変わらん)ような、家族(閉部分空間の族)」ってか。
  • 有界変動関数。閉区間上の複素数値関数ρに対して、分割を考えた時、 V_{[a,b]}(\rho) = sup_{\Delta}  V_{[a,b]}^{\Delta}(\rho) = sup_{\Delta} \Sigma_{k=0}^{n-1}|\rho(\lambda_{k+1})-\rho(\lambda_{k})|<∞ を満たす時、ρを[a,b]上の有界変動関数といい、その全体を BV[a,b]と表す。 V_{[a,b]}(\rho)は、全変動と呼ばれる。心は、「閉じた区間の、どこで区切っても、差が∞みたいな意味わからんことなるわけない(ゆらゆらした)関数」
  • Stieltjes積分 f \in C[a,b]有界変動関数ρによるRiemann-Stieltjes和は、λk<=λk*<=λ(k+1)を満たす任意のλk*に対して、 S_\Delta = \Sigma_{k=0}^{n-1}f(\lambda_k^*) \{\rho(\lambda_{k+1})-\rho(\lambda_k)\}で定める。と、Δの分割の区切り方を小さくする、すなわち、Δの隣合うλ同士の差の上界を0に収束させると、fとρと区間だけを考えれば良い。この極限を、 \int_a^b f(\lambda) d\rho(\lambda)と書いて、ρによるfのStieltjes積分と呼ぶ。実数全体上で積分するのが、広義Stieltjes積分
  • 区間への射影。I=(λ,μ]への射影として、E(I) = E(λ) - E(μ) とすると、MμとMλの直交補空間の積集合への射影になる。1つの空間への射影が、区間という2つの値を指定を許すと、積集合(空間)への射影も作れる、という話。
  • 関数を積分したものの不等式で、Schwarzの不等式が出てくる。
  • スペクトル作用素 D_\varphi (T) = \{u\in H : \int_{-\infty}^{\infty} |\varphi(\lambda)|^2 d <E(λ)u, u> < \infty\}

 

ここまでで、スペクトル作用素まで出てきたので、あとは、自己共役作用素と、スペクトルを、分解という言葉で、繋げるだけだ。

 

こちらの記事では、実行列のスペクトル定理や、一般の行列、自己共役作用素にまで悪長したものがある。行列を固有値分解したとき、それぞれの固有ベクトルが出てきて、という流れがあった。いくつかの特有のものでバラバラにうまくできます!というイメージか。

最後に、乗算作用素の形式におけるスペクトル定理 あるヒルベルト空間 H における各自己共役作用素 T に対し、H から空間 L2(M, μ) への上への等長同型をなすあるユニタリ作用素が存在し、T はその空間 L2(M, μ) において乗算作用素として表現される

気持ちとしては、行列(ベクトルからベクトルに変えるもの)で、ベクトル空間に移す

とき、特異値分解みたいに、長さ(なる尺度)を保たせるような、特異的なベクトルがあって、もとの行列は掛け算みたいに扱って良い。というのを、難しくした(一般的な形にした)、というイメージだ。

 

バイバイ!