トポロジーと曲面の入門

絵ときトポロジー 曲面のかたち

絵ときトポロジー ―曲面のかたち― (数学のかんどころ 20) | 前原 濶, 桑田 孝泰, 飯高 茂, 中村 滋, 岡部 恒治, 桑田 孝泰 |本 | 通販 | Amazon

1. 連結性と同相変形

曲線と図形  「図形」とは、空間上の空でない点集合。「曲線」とは、点を連続的に移動して描く図形。出発点と終点が同じとき、閉曲線という。山手線は閉曲線。  折れ線とは、線分をつなぎ合わせて得られる曲線。閉じた折れ線もある。構成する各線分は、辺と呼ばれる。 凸集合と連結な図形 * 内部のどの2点も、内包された線分で結べるとき、凸集合と呼ぶ。心は、「凸集合は、光源を入れると、部屋のどこも照らせる部屋」。凸集合である多角形は凸多角形。凸多面体もある。

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 制約を緩めて、どの2点も内部の曲線で結べるとき、連結(弧状連結)と呼ぶ。  2つの連結な図形について、共通部分が空集合でないなら、和集合は連結 図形の成分数  1つの連結成分とは、連結であり、それより大きい連結成分がない集合。その数を成分数という。 図形の伸縮変形と切り貼り  伸縮変形とは、破ったり折り重ねたりせずに変形すること。  トレフォイル(3葉結び目)の閉じた折れ線の辺数の最小値は、6。これをスティック数という。  3次元空間内の単純閉曲線を結び目という。互いに伸縮変形で移りあえる結び目同士は同型という。 * 切り貼りとは、図形をある所で切断して、伸縮変形してから、切ったところを局所的に元通りに貼り合わせること。 同相変形と同相写像

  • 同相変形は、切り貼りや伸び縮みをして変形すること。鏡に映すことも、影絵も、同相写像同相写像とは、図形Aの要素が連続的に動くと、図形Bの要素も連続的に動くことの、逆も成立させるような対応がとれること。その写像がある時、同相という。同相には推移律が成立する。

制限同相定理とは、図形AとBが同相であるとき、お互いの対応する部分をとったときも、とった部分同士も、取らんかった方も、同相である。連続性と影絵で、これまた当たり前。

同相のとき、成分数も等しい。

ドーナツはトーラス。

2. 単純曲面と平面グラフ

線分と同相なら、単純曲線。円周と同相なら、単純平曲線、円周のなかを詰めたら、円板。

ジョルダンの閉曲線定理 「Γを平面上の単純閉曲線とする。Γは平面を外部と内部に2分割する。内部と外部はΓをまたがないと行き来出来ない。Γから発射してΓに戻るロケットは、外部か内部かどっちかだけを通っていた。」

シェーンフリースの定理 「平面上の単純閉曲線Γの内部は、平面上の円の内部と同相である」

立体射影 単位球面から、一点抜いたものと、平面が対応する。

「球面上の単純閉曲線が球面を2分割する」

n個の点の各点対を単純曲線を結んで得られる図形を、完全n点網、と呼ぶ。

「図形Xと図形Yが同相のとき、X上に完全n点網が存在するなら、Y上にも完全n点網が存在する。」

長方形の紙を一回ねじって貼り合わせたものをメビウスの帯という。

グラフ 頂点の集合と、頂点同士を結ぶいくつかの単純曲線の集合の組を、グラフという。※辺の両端は頂点。辺は途中で違うところと交わらん。(その場合は、分割しろ) 両端一致してたら、ループという。、部分グラフ、完全グラフ。、頂点に入ってくる辺の本数を次数という。

握手補題「任意のグラフに対して、各頂点の次数の和は、辺の数の2倍に等しい」

奇点定理「次数が奇数の頂点を奇点といい、どんなグラフでも奇点の数は偶数」

ペンダント、バイパス辺 グラフの復元定理「任意の連結グラフは、任意の連結な部分グラフから、ペンダントの追加と、バイパス辺の追加を繰り返すことで、復元できる」

平面上のグラフ、平面グラフ。図形Gの成分を面、 オイラー公式「任意の連結平面部分グラフGに対して、φ(G)=2」

「平面上に完全5点網を描くことはできない」

クラトウスキーの定理「グラフGが平面グラフとして、実現できるための必要十分条件は、図形Gが、K5または、K3,3(完全2部グラフ)と同相な図形を含まないことである。」

3. 閉曲面を作る

n次元空間で、n個の実数の組を点と呼ぶ。その点の全部の集合をn次元空間という。

三角不等式「Rnで、3点A、B、Cについて、AC<=AB+BC が成立する」

クラインの壺射影平面

交差解消トリック「次元が一つ大きい空間内に置いて、図形のある部分を最後の座標軸方向に少し持ち上げて交差をなくすこと」

円柱を4次元空間内において、円柱の縁を一致させて貼り合わせるとき、交差する片方を4つ目の次元に少しずらすことで、自己交差をなくす。こうしてできた4次元空間内の図形をクラインの壺(K)という。

メビウスの帯の縁γと円板Dを4次元空間内で、貼り合わせると、射影平面となる。

閉曲面の設計図と展開図

平面上の円の内部と同相な図形は、(2次元の)セルという。

曲面とは、「図形の任意の点において、図形をその上のある単純閉曲線に沿って、切ると、その点を内部に含むようなセル(平面上の円の内部と同相)が切り離せるような、図形」、平面、球面、トーラス。(円板はダメ、境界付き曲面らしい。)

設計図「有限個の多角形の全ての辺にラベルと向きがある。さらに、2つの条件を満たすもの。1)同じラベルを持つ辺は2つずつある。2)設計図からいくつかの多角形を除くと1)は成り立たない。

任意の設計図は、4次元空間内では、同じラベルと向きの辺を交叉しないように貼り合わせられて、曲面になる

貼り合わせる順序が違っても、切り貼りによって移り合われる同相な図形となる。

閉曲面「設計図のとおりに辺を貼り合わせて得られる曲面と、同相な図形」

設計図で、1つの多角形からなるものを、展開図という。

「閉曲面には、必ず展開図が存在する(閉曲面は連結である)」

メビウスの帯と同相な図形を取り出せるような閉曲面は向き付け不可能な閉曲面という。否なら、向き付け可能な閉曲面という。表か裏かを区別出来ますか?ということ。

ジョルダン・ブラウワーの定理「R3の閉曲面MはR3を2つの成分(Mの外側と、Mの内側)に分割する」 (ジョルダンの延長?「Rnの閉(n-1)次元曲面は、Rnを2つの成分に分割する」(n=1,2,3)は成立しているし、ありか??

辺の分割と統合

4. 閉曲面のオイラー標数

閉曲面上に描かれたグラフを、閉曲面上のグラフという。閉曲面をグラフで切り抜いたものを面、領域という。

各面が多辺形の内部と同相になる(セルになる、平面上の円の内部と同相)と、セル分割グラフと呼ぶ。

平面はセル。「どんな閉曲面上にもセル分割グラフが存在する」

辺の細分

「閉曲面Mのセル分割グラフGから、辺の細分、ペンダントの追加、バイパス辺の追加、を繰り返して得られるM上のグラフは、Mのセル分割グラフが得られる」

「閉曲面上の連結グラフGに対して、辺の細分やペンダントの追加を行ってもφの値は変化しない。バイパス辺の追加を行うと、φの値は変化しないか1減る(面の数が増えない、トーラスの時、切っても、一緒)」

「閉曲面のセル分割グラフに、辺の細分やペンダントの追加、バイパス辺の追加を行っても、φの値は変化しない」

「閉曲面上の任意の連結グラフHと、任意のセル分割グラフGに対して、φ(H)>=φ(G)となる、両方ともセル分割グラフなら、等号成立」

χ(M) = v(G) - e(G) + f(G) のχをオイラー標数と置く。

オイラー標数の不変性「閉曲面が同相なら、オイラー標数も等しい」

球面上に完全5点網を書けない。

射影平面上に完全7点網を書けない。

トーラス上に完全8点網を書けない。

R3内の閉曲面の各点において、接平面がただ1つ決まるとき、滑らかな閉曲面という。滑らかな閉曲面の点での接平面が水平(xy平面に平行)の時、臨界点という。否なら、通常点という。高さが極大、極小となる点を極点という。

等高線は、水平面との交わりとして、得られる曲線。鞍点とは、滑らかな(2次)閉曲面上では、4つの等高線が入り、点の周りが全て通常点であるような点。滑らかな閉曲面の臨界点が有限個で、しかも極点と鞍点だけのとき、一般の位置にあるという。

「一般の位置にある閉曲面Mに対して、(極点の個数)-(鞍点の個数)= χ(M) が成り立つ」

5. 閉曲面の連結和

閉曲面MとNの各々から、1つずつ円板をくりぬき、穴をあける。これら2つの穴の縁を貼り合わせると、閉曲面が得られる。この閉曲面をMとNの連結和といい、M#Nと表す。反射率も成り立つ。結合率も。

閉曲面上に開けた穴は、どこでも移動することが出来る。

球面との連結和はもとと一緒。(球面が演算(#)に関する単位元となる)

結び目の連結和として、結び目理論にも、連結和が定義される。任意の自然数素数の積に一意的に分解される、みたいに、「任意の合成結び目は、有限個の素な結び目の連結和として一意的に表される」

連結和のオイラー標数「χ(M#N) = χ(M) + χ(N) - 2」

T(n)と同相な閉曲面を、種数nの向き付け可能な閉曲面といい、P(n)と同相な閉曲面を、種数nの向き付け不可能な閉曲面という。

閉曲面のオイラー標数「χ(S) = 2, χ(T(n)) = 2 - 2n, χ(P(n)) = 2 - n 」

連結和の展開図、分割線と連結和分解、分割線とは、展開図の多辺形をある対角線で分けたとき、その対角線の両側に同じラベルの辺が現れることのない、ような対角線。

連結和分解「閉曲面Mの2n辺形の展開図に分割線gがあるなら、M~=M1#M2と分解出来る。ここで、M1、M2は分割線で切り離して、その辺を一点に縮めて得られる。よって、展開図の辺数の総和は2nである。」

向き付け不可能な閉曲面の分解「閉曲面Nが向き付け不可能ならば、N~=N1#Pとなる閉曲面N1が存在する」

分割線定理「閉曲面Mの展開図Sがねじれ対(展開図の両方が同じ向きに回っているとき)をもたず、しかも、分割線を持たないとせよ。展開図Sの辺数が6本以上なら、この展開図から、切り貼りによって同じ辺数をもつMの展開図で分割線をもつものを得ることが出来る。」

6. 閉曲面の分類

閉曲面の展開図がねじれ辺をもたない2辺形なら、その閉曲面は球面に同相である。

閉曲面の展開図がねじれ対をもたない4辺形なら、その閉曲面は球面かトーラスに同相である。

向き付け可能な閉曲面のリストO = {S, T(1), ・・・, T(n), ・・・}

向き付け可能な閉曲面は、標準リストOの中のどれかと同相である。

「2種類の向き付け可能な閉曲面に対して、同相であるための必要十分条件オイラー標数が等しいことである」

「閉曲線Mが向き付け可能であるための必要十分条件は、その展開図にねじれ対が現れないことだ」

T#P~=P(3)

標準化定理「T(m)#P(n)~=P(2m+n)」

向き付け不可能な閉曲面の分類「向き付け不可能な閉曲面は標準リストNの中のどれかの閉曲面に同相である」

向き付け不可能な閉曲面同士が同相となるための、必要十分条件は、オイラー標数が等しいことだ。

7. 5辺形の配置空間

伸び縮みしない細い棒を、自在ジョイント(粘土)でつないだ構造物を、フレームワークという。全ての頂点が同一平面上にあるとき、平面上のフレームワークという。

辺の順序を入れ替えた5辺形の配置空間は、もとの5辺形の配置空間と同相である。

一般の5辺形は、変形して、その鏡像の形にすることが出来るとき、リバーシブルという。